どーもこんにちは。何でもかんでもディベートしたがるプータローのショウ子()と申します。 @showcom
「現代の生き方」についての特集が豊富な「婦人公論」を片手に、私の考えをひとりで喋るコーナーです。
※誌面側が意図するものと、私の感覚とが異なる点もあるかと思います。あくまでも「私なりに」解釈して、ひとりでディベートしていることをご理解ください。
この記事の内容
「婦人公論」今号の特集内容
2019年8月9日号の特集は
「女が悩む実家の10大問題」
特に私が考えさせられたのは、親の介護と、お墓の件です。
実際に、母に「自分が入るなら樹木葬がイイ」と言われ、生前契約できる永代供養の墓地を探し中の私。
今は元気だけど、元気なうちに、要介護になった時や、死後のことをちゃんと話しておいたほうが良いですよね。
今回、取り上げる特集は以下の2つ。
- 「先祖代々」に囚われない、私たちのお墓選び
- 40年ぶりの民法改正による相続のメリット・デメリット
【特集1】「先祖代々」に囚われない、私たちのお墓選び
昔は、生まれた土地で生涯暮らし、先祖代々の墓を受け継ぐということが当たり前だったかもしれません。
でも今は、生まれた故郷を離れて暮らす人の方が多いでしょうし、モノやしきたりを「先祖代々受け継ぐ」ということ自体がナンセンス視される時代。
多様化と言われて久しい昨今。
生き方や結婚などの自由化が進んでいるように、お墓にだって自由があってイイんじゃない?という、私のマインドと合致する特集でした。
「先祖代々」に囚われない 私たちのお墓選び
取材・文:山田真里(フリーライター)
ケース1 墓じまい
公営霊園に建てたお墓を、別の公営霊園の合同墓に入れることにしました。
公営霊園同士での移動なのだから、手続きもシンプルだろうと思っていました。
しかし、申請書類をもらいに行ったら、「本当にお墓を潰して良いのか?」「後から文句を言う親戚はいないのか?」と、くどくどと確認されました。
しかも、改葬の申し込みができる期間がたったの2週間。さらに、内容によっては申請が許可されないことがあると言われたのですが、どのようなケースが許可されないのかなど、はっきりと教えてもらえませんでした。
もし改葬申請が受理されなかったら、また1年待たなくてはならない。
お墓の引っ越しだけなのに、ほとほと疲れ果てました。
自分たち夫婦が入るお墓についても、子供に「先祖代々の墓」を押し付けることだけはしたくないので、年月やお金はかかっても、なんとかやり通したいと思います。
先祖代々が暮らしてきた家に住むことは、今の時代ほとんどない。
職業も自由。
先祖代々受け継いできた職業を引き継ぐのも、一部の世界のみ。
じゃあ、お墓は?
死後、どこに眠るのかも自由にしてほしい。だから、先祖代々のお墓はいらない。
守らなければいけない家屋が田舎にあると不便。
守らなければいけない伝統があると不自由。
守らないといけないお墓が田舎にあると大変。
ケース2 おひとりさま専用の合同墓地
これからどうなるのかという不安もあって、おひとりさま女性の互助団体のセミナーに参加しました。
その中で興味を惹かれたのが、「女性のための共同墓」でした。
霊園は、バラが綺麗なことでも知られていて、共同墓もクリスタルボードに囲まれたデザインがおしゃれ。「こんなお墓なら入りたい」というくらいに素敵でした。
実家近くには、兄が継いだお墓があるので、そこへ自分も入るという選択もあります。
しかし年月が経てば、お参りに来るのは遠い親戚や子孫になるわけでしょう。義理で偲ばれて「このBさんって人は誰?」なんて言われるのは嫌だなと思いました。
その点、バラ園の共同墓では、年に1回追悼式が開かれて、参加者は黒い服も着ず、ワイン片手に亡き人の思い出話しに花を咲かせる。
同じ価値観を持ち、楽しくおしゃべりした人たちと一緒のお墓に入ると思うと、死ぬことも寂しくないと思うようになりました。
特に、黒い服も着ずにワイン片手に思い出話しに花を咲かせる感じ!
昔から、「私の葬式は、黒い服に悲しい顔じゃなく、カラフルな服装でお別れパーティーにしてほしい」と言っている。
そして、お墓参りも「みんなでピクニック」にしてほしいと言っている。
そのピクニックも、私のためだけのピクニックよりも、同じことを希望している故人のための大規模なピクニックの方が楽しいに決まってる!
同じ思いのメンバーが生前から集まって、死後、同じところに入るのは素敵だな〜!
ケース3 樹木葬
そういったことに関して、遺言を残して欲しかったのですが、「早く死んでほしいのか」と言われて、耳を貸してくれませんでした。
お墓については、実家のお墓には入りたくなさそうだということは分かっていました。
しかし、近所のお墓も宗派が異なっていたり、お墓の雰囲気がどうも好きになれなかったりでした。
そんな時、「俺が死んだら、木の栄養になりたい」と夫がつぶやいていたのを思い出しました。
その当時は樹木葬をやっている墓地が少なかったのですが、里山保全活動をする団体が樹木葬をスタートするという告知を、たまたま見つけました。
ひと目見て「夫が好きそうだ」と感じました。
夫の実家へ仁義を切るために、埋葬前に菩提寺へ位牌とお骨を持参してお経をあげてもらいました。
今は、夫が可愛がっていた老犬も、夫の眠る樹木葬に併設されているベット用の共同墓で眠っています。
先祖代々の墓を押し付けるつもりもない。
かと言って、散骨はなんとなく違う。
木の下で眠りたい。
素敵な空間で眠りたい。
お墓参りは毎年じゃなくても、気が向いた時に来てくれればいい。
やっぱり、葬儀やお墓について、生きている間に希望を聞いておくっていうのは重要だよね。
まとめ
この特集の末尾に、こんな文章がありました。
すでに亡くなった人に忖度して、旧来の墓に囚われるよりも「今を生きている人にとって何がベストなのか」を考えて選び取っていく。
そのプロセスが、実は大切なのかもしれない。
亡くなった人に対しての敬意がないと言われるかもしれませんが、本当にそう。
お墓を守ることに神経を使ったり、お墓参りに予算も時間も掛かって苦労するのは、今を生きている私たち。
亡くなった人のことを想うことは大切ですが、今を生きている自分たちの生活も大切だと思うのです。
・先祖代々のお墓は、場所も取るし、管理が大変だし、今の時代ナンセンス!
・自由な結婚式が増えているように、自由なお葬式が増えたっていいじゃん?
・住む家が自由なら、死後に住む家=お墓も自由でいいじゃん?
・家族と一緒のお墓に入る必要はない
・お墓の場所がどこにあっても、どんな形式であってもいい
【特集2】40年ぶりの民法改正による相続のメリット・デメリット
法の改正を詳しく知る機会がなかったので、この特集はありがたいです。
というか、元々の民法がどのような制度だったのかも知りません。
嚙み砕いで解説してくれているので、項目ごとに見ていきたいと思います。
40年ぶりの民法改正による 相続のメリット・デメリット
アドバイス:一橋香織(相続診断士)
イラスト:花くまゆうさく
夫に先立たれた妻の住まいは?
今回の民法改正では、夫に先立たれた妻の、その後の生活に配慮された制度が新たに設けられています。
基本的な「相続」の制度として、下記の内容を頭に入れて見ていきましょう。
夫が亡くなり、妻と子に相続が発生すると、妻は法定相続分としての財産の2分の1を、子供は残りの2分の1を、人数に応じて受け継ぐことができます。
配偶者居住権
以前は、遺産分割の時に、妻が今住んでいる家を取られてしまう可能性がありました。しかし、民法改正によって配偶者居住権という制度が新設され、今住んでいる家を守ることができるようになったのです。
この制度ができた背景としては、離婚や再婚が増えて「血縁関係のない親子」間での遺産分割が増加傾向にあるということが考えられます。
例えば、夫の前妻の子供と、後妻で財産を分ける場合。
関係が良好であれば、後妻に対して「今住んでいる家を取り上げたりしないよ」という考えになるのが普通かと思いますが、関係が良好でなければ「遺産相続の権利があるんだから、その家を売却する権利だってある!」という主張をされかねません。
【これまで】
主な財産が、現在母親の住んでいる自宅のみの場合、子供が「家を現金化して分けよう」と、自宅の売却を迫ることができた。
▼
【改正後】
配偶者居住権
亡くなった被相続人(夫)の持ち家に住んでいた配偶者(妻)が、終身あるいは一定期間、その家に住むことができる権利。
※ただし、自由に売却したり賃貸に出したりして金銭を得ることはできません。
妻にとってはメリットが大きいですが、子供にとってはデメリットもあります。
所有権を子供が持っているのに、妻が配偶者居住権を行使して住み続けている場合です。
この場合、所有権を持っている子供が、相続税や固定資産税を払わなければなりません。しかし、妻が住み続けている間は売却も賃貸による収入を得ることもできないので、支出だけが増えるということになります。
生前贈与
夫から、生前に自宅の名義変更等で生前贈与されている場合、所有権は名義人である妻のものです。
これまでは、その生前贈与された財産も、死後の遺産分割時の総額計算に含まれてしまっていました。そうなると、死後の遺産分割で現金を相続できる額が少なくて、住む場所はあるけれど、生活に困窮するという可能性があったのです。
しかし、民法の改正で、生前贈与された自宅は換算せずに、遺産分割を受けられるようになりました。
【これまで】
亡くなった被相続人(夫)から生前に家を贈与された場合でも、相続するはずの財産を先に受け取ったとみなされて、遺産分割の時に財産の総額に、その分も含まれてしまう。
▼
【改正後】
結婚期間が20年以上の夫婦間で、配偶者に贈与された自宅は、遺産分割協議の対象から外れる。
これも、妻にとってはメリットですが、子供にとってはデメリットです。
妻が生前贈与を受けた不動産の評価額が高く、現金の遺産が少ない場合は、子供の取り分がほとんどない可能性もあります。
夫の親を介護した時の見返りは?
介護は、親に最も世話になった人が行えれば良いのですが、住んでいる場所や仕事の関係などから、そうもいかないことが多いでしょう。
どうしても、仕事に融通を効かせやすい、女性が介護の役割を担いがちです。
実の両親であれば、話は簡単ですが、義理の両親であれば心的負担も大きそうです。
これまでも、報酬を得ずに故人の介護や看病をした人は、相続財産を多く請求することができましたが、法的相続人に限られていました。
しかし、今回の改正で、義理の子供でも請求できるようになりました。
特別寄与料の請求
【これまで】
「相続財産を多く受け取りたい」と、寄与料の請求をすることができるのは、法定相続人に限られていた。
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【改正後】
相続人ではない親族(息子の妻、孫、兄弟姉妹の妻など)も、寄与料の請求ができるようになった。
※ただし、事実婚や同性婚など、法的な婚姻関係のない人は請求ができません。
とはいえ、自分から、夫の親族に対して「私にも介護の見返りをください!」と主張するのは難しいでしょうし、寄与料が認められるには相続人全員の同意が必要です。
なかなかハードルの高い請求のように感じられます。
そこで、誌面でオススメされていたのが、介護をしてくれる人を生命保険の受取人にすることです。そうすることで、まとまった金額を確実に残すことができますね。
介護しない側としても、介護してくれた人に、自分の貯蓄からお礼を渡すのは難しくても、遺産相続から分配したり、生命保険料が渡る分には、「どうぞどうぞ、ありがとうね〜」と思って渡せそう。
親の葬儀代が用意できない時は?
突然やってくる親の死。
葬儀費用や医療費など、人が亡くなる際には大金が必要になります。
親の貯蓄から出させてもらおうと考えることもあるかと思います。しかし、今までは、それができなかったのです。
遺産は、被相続人が亡くなった時点で相続人全員の共有となります。
相続人の誰かが勝手に預貯金を引き出したり、講座の名義を変更したりするのを防ぐため、金融機関は預貯金の名義人死亡を知った時点で、「口座の凍結」を行います。
それが、今回の改正で新たな制度が設けられました。
仮払い制度
【これまで】
故人の医療費や葬儀代のためであっても、死亡後は口座の凍結が行われ、遺産分割が終わらないと、引き出すことができなかった。
▼
【改正後】
仮払い制度
緊急にお金が必要な場合、「預貯金残高 × 1/3 × 仮払いを申し出る人の法定相続分」で計算し、上限額150万円まで仮払いを申し出ることができる。
これは、各金融機関ごとに可能で、複数の金融機関に預貯金がある場合は、所持している口座の金融機関数の申し出が可能。
上記の計算を用いて、例えば預貯金が1200万円で、法定相続分が1/2の場合。
「1200万円 × 1/3 × 1/2 = 200万円」ですが、上限金額が150万円なので、実際に引き出せるのは150万円となります。
この制度における最大のデメリットは、遺言書に「遺産を残さない」と指定されている人が勝手にお金を引き出すことができるということです。
でも、それができるようになったのは、ありがたい〜!
自分の相続分が少なすぎる時は?
配偶者や子供など、一定範囲の相続人には、遺産のうち「最低限受け取れる分」として、遺留分の割合が法律で決められています。
もし相続人の誰かが遺言で遺産を多く受け取り、他の人の取得額が遺留分に満たない場合、その不足分を、多くもらった人に請求することができました。
しかし、この遺留分の請求は、現物でしか求めることができませんでした。
どういうことかというと、不動産を相続した人に、「私の相続分が少ないから、不足分を分けて」と遺留分の請求を行った際は、現金としてではなく、不動産の返還でしか求めることができなかったのです。
それが、今回「遺留分の請求は、全て現金で」という方針に転換されました。
遺留分侵害額請求
【これまで】
遺留分を現物の返還でしか求めることができなかった。
▼
【改正後】
「遺留分の請求は全て現金で」でという方針に転換された。
でも、こんな例ならありえそう。
「持ち家は、同居していた長男に。現金は次男に相続する」という 遺言で、持ち家の評価額は2000万円だったけど、残された現金は100万円だった、という場合。
確かにこの差だと、「兄貴、ちょっと分けてくれよ」となりそう。
今までだと、この不動産を二人の共有名義にするしかなかったんだって!めんどくさっ!でも今後は、この不動産を売却して現金で分けることもできるし、売却せずとも自身のお金で支払うこともできる。
良かった良かった。
遺言書って必要?
遺言書って、ちゃんとした形式で書かないと法的効果がなく、作成が面倒らしいんですよね。
まず、現在よく利用されている遺言書には2つのタイプがあります。
「自筆証書遺言」
手書きの遺言書のこと。
費用がかからないというメリットはありますが、書式に細かい規定があります。
添付する目録も含めて、全て手書きで作る必要がありました。「公正証書遺言」
公証役場で作る遺言書のこと。
費用(数万円から十数万円)はかかるものの、公証人に自宅まで来てもらうことが可能で、弁護士や司法書士に作成してもらうこともできるので安心です。
しかし、今回の改正で、自筆証書遺言の添付物の一部がパソコンでの制作や、コピーでも可能となりました。
自筆証書遺言
【これまで】
添付する目録も含めて、全て手書きで作る必要があった。
一ヶ所でも間違えたら最初から書き直すか、細かい規定のある訂正方法で直さなければ法的に無効になってしまっていた。
▼
【改正後】
遺言書に添付する「相続財産の目録」については、本人の手書きでなくてもOKに。
パソコンでの作成や、誰かに作成してもらったもの、あるいは通帳のコピーや登録事項証明書などのコピーの添付でも認められるようになった。
この改正は、「便利になった〜!」というよりは「当たり前じゃ!」という感覚。
はい、ブラックショウ子です。
遺言書の保管制度
また、2020年7月から、自筆証書遺言の原本を、法務局で保管する制度が新しく始まります。
自筆証書遺言は、自宅で保管されることが多く、せっかく作成しても紛失や破棄、あるいはないように不満のある人による改ざんの恐れもありました。
しかしこれからは、本人が所轄の法務局に申請すれば「遺言証書保管事実証明書」が交付され、法務省で保管してもらうことが可能になります。
しかし、これにはデメリットもあります。
一度、保管を依頼した後、内容を書き換えたくなった場合、遺言書の訂正は、本人が法務局へ申請をしに行かなければなりません。
万が一、病気や怪我で動けなくなった時、書き換えたいのに書き換えられないという可能性があります。
自筆できる状態かどうかも分からないし。
預けるメリットもあるし、デメリットもある。難しいな〜。
まとめ
・結婚相手の親を介護した時に利用できる「特別寄与料の請求」は覚えておこう
・親の口座が凍結しても「仮払い制度」で引き出せる!
・遺言書を手書きするのが、少し楽になった!
・遺言書を保管してくれるサービスが始まる